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本格的なかきのシーズンが始まる11月末。

南三陸町志津川湾。行場博文さんはここでかきの養殖業を行っています。

今回は、ご夫婦でかき養殖を営む行場さんの船に同行し、かきの水揚げの様子や志津川湾のかきについてお話を聞いてきました。

朝焼けの中の水揚げ

「明日の朝は今よりもずっと寒いから、暖かい恰好をしてきてくださいね」

前日にそういわれた通り、取材班が乗った船が発進すると、ピリピリとした冷たい風が吹きつけました。

10分ほど船に乗っていると、岸はだいぶ遠くなり、薄暗かった空はぼんやりと朱みがかって、だんだんと明るくなっていきます。東向きに湾口が広がる志津川湾は、美しい朝日が水平線上に望めます。

 

朝6時過ぎ。行場さんの船はすでに作業を開始していました。

朝焼けの美しい朱色が、海の蒸気に反射する幻想的な風景。行場さんの船は低いエンジン音を鳴らす。

志津川湾のかきは、外洋に面しているため、時化の影響が大きい地域です。その影響を最小限に防ぐため延縄垂下式(はえなわすいかしき)という方法で養殖を行っています。長い頑丈なロープにかきの種苗を植え付け、1~2年かけてかきを育てます。

水揚げ作業は、そのロープを船にたぐり、育ったかきを外していく作業。

 

クレーンで引き揚げられたかきは、ぐるぐると巻き取られ、機械でロープから外されていきます。

阿吽の呼吸で水揚げ作業を行う行場夫妻。
素早く水揚げされ、機械に通してロープから外される。

採れたてのかきは“海の味”

行場さんに勧めてもらい、採れたてのかきを頂くことができました。同乗していた漁師さんが手早くかきの殻を開けると、中からは乳白色のかきがつるんと顔を出します。

ぱくり!ひと口でそれをほおばると、味わったことのない強い塩分を感じ、目を見張りました。

「しょっぱいでしょう?」漁師さんにそう言われて大きくうなずくと、その理由を説明してくれました。

通常、かきは水揚げしてから一晩置いたころが食べごろだそうです。かきは、海水の栄養分を摂るために1日に200ℓ以上水を吸い込んで吐いています。なので、水揚げしたばかりだと海水をたっぷりと含んでいて、それが強い塩分を感じる原因になるのです。

まさに、採れたてのかきは“海の味”そのもの。

それと同時に、かきの生きる力の強さを感じる味でした。

採れたての牡蠣。乳白色でつるんとしている。

商品名:顔が見えるお魚。かき
産地:宮城県本吉郡南三陸町
生産者:行場博文