第2話 

香ばしく、ふっくらと焼き上げたうなぎの蒲焼き 

日鰻で育てられたうなぎは、鹿児島県指宿(いぶすき)にある株式会社 大新の工場で蒲焼きになります。その工場の裏側をご紹介します。

話を聞いた人

株式会社 大新 野嶽さん

鮮度第一!氷締めと職人ワザ

まだ生きた状態のうなぎは、一度氷締めにします。温度差でショックを与えることで、仮死状態になったうなぎは動きを止めるので、その状態で捌いていきます。うなぎを締める方法は業者によって異なり、電気で締める方法もあります。しかしそれだと身が固くなってしまうので、少し手間でも氷で締めるのが大新流です。

氷の中で仮死状態になっているうなぎ 

うなぎの養殖の流れ

動かなくなったうなぎは目打ちで頭を固定し、背中を開き、骨、肝をとり、蒲焼きにする場合は頭を落とします。その手さばきは、圧巻の速さと正確さ。

職人の華麗な手さばきは目で追えないほどの速さ

捌いた瞬間からうなぎの鮮度はどんどんと落ちてしまいます。スムーズに次の工程に進むために、職人の方々が凄まじい速さで捌き、水で洗い、ひとつひとつ優しく、ていねいに伸ばして焼いていきます。

ひとつひとつ、ていねいに広げて並べる

余分な脂を落として、じっくり、ふっくら焼き上げる

大新の蒲焼きの特徴は、もう一つあります。それは、うなぎをじっくりと焼いて蒸す、とっても長いオーブンと蒸し機。

まだまだ続く蒸し器ライン

まず、ゆっくりと加熱してうなぎの余分な脂を落とします。次に、うなぎの大きさに合わせて15~30分程かけてじっくりと蒸していきます。時間をかけて蒸すことで、うなぎの身がふっくらと仕上がるのです。

最初のタレ付け後のうなぎ

蒸されたうなぎはタレ付けされ、表面をこんがりと焼かれます。こうして香ばしいうなぎの蒲焼きとなるのですが、大新ではなんとタレ付けと焼きを3回も繰り返して仕上げます。2回までは一般的ですが、3度タレ付けと焼きをすることで、より香ばしさを感じるようになるのだとか。

おいしさの裏側には、見えないところでの手間ひまが隠れていたのでした。

完成したうなぎの蒲焼き

製品第一!おいしいうなぎを届けたい

工場内を案内してくれたのは、製造を統括する野嶽(のだて)さん。うなぎの蒲焼きの製造に携わってから、20年以上も経つそうです。まさにうなぎの蒲焼きのプロフェッショナル。蒲焼きを作る上で、大事にしていることを伺いました。

案内してくれた野嶽さん

「やはり、製品第一!衛生的で、品質の良いうなぎの蒲焼きを作れるように、日々努めています!」

ハキハキと語る姿からは、野嶽さんの真面目な性格が伺えます。

「うちはこだわりがあって他のうなぎとは違った味わいです!ぜひひと口食べていただいて、おいしさを感じてほしいです」

最後に

鹿児島県で育てられたうなぎの蒲焼き。香ばしく、ふっくらしっとりとした身は、口の中でとろけるようなおいしさです。そのおいしさ、食文化を守り、繋げていくために様々な人が関わっていることが、少しでもこの記事で伝われば嬉しいです。

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