「おいしい豚を育てるのには系統やエサも大事ですが、もうひとつ重要なことがあります。それは豚にストレスを与えないことです」
―ストレスがかかるとどうなってしまうのでしょうか?
「豚は、思っている以上に繊細な生き物で、ちょっとした環境変化や部屋が汚れているだけで調子を崩して病気になりやすくなったり、肉質にも影響します。養豚場があるミシガン州とイリノイ州は、アメリカの中でも比較的涼しい地域で、豚の成育に適しています。また、養豚場から車でおおよそ2時間のところに加工場を設けているので、長時間の移動によるストレスもかかりにくいように配慮しています」
―育てる環境でも、味が変わってくるのですね。
「そうです。また、日本では豚の成育状況によって部屋を分け、適齢になったら出荷をしますが、アメリカでは“All In All Out”と言う方式をとっています。これは、育てる豚を豚舎単位で育てて、豚舎単位で出荷するというスタイルです。途中で入ってくる豚からの伝染病リスクをなくし、農場が一気に空くことで大規模な清掃や消毒をすることが可能なので、衛生面にも配慮されています」
―日本とは豚の育て方も違うのですね。