青森のほたては県を代表する特産品だ。笹原さんの工場は、毎年、青森の養殖ほたての1割程の出荷量を担っている。
「青森のほたてはやっぱり、甘さが特徴。以前成分を調べたときには、他の産地よりもグリコーゲン(ほたての甘みに影響する)が高かった。食感は、シャキシャキとしていてそのあとにとろっとした甘みがある。陸奥湾の漁師さんが大切に育てたほたて貝。その自然な甘みや風味を、最大限に引き出し皆様にお届けすることが我々の役割だと思っている」
先代から引き継いだほたての加工業。
家業への責任、青森県の産業の継承、そして青森のほたてを全国に広める役割。その一員として、力を発揮しなければいけない。笹原さんの原動力は、そこから来ている。
「青森のものが評価されれば嬉しい。味の改良を重ねてきて、ほんとうにおいしくなった。ぜひみなさんに食べていただきたい」
40年以上ほたてに携わる間、決して楽な道ばかりではなかっただろう。しかし、笹原さんの言葉からは、ほたてへの確かな自信と、期待が感じられた。