―たくさんある釜を一人で使って調理するのですね。大変そうですが、どうしてこんなにたくさんの釜を使うのですか?
「このかぼちゃ煮は、家庭で作るときとできるだけ同じように作っています。一度に20㎏ほど作れる大きな蒸気釜や、大量に蒸してから調味液で煮る方法などもありますが、これくらいの大きさの釜(約8㎏作ることができる)で作るのとでは、やっぱり味が違いますね。だから、手間がかかるし、効率も悪いけれど今の作り方で煮続けています」
―家庭の味を再現するためなのですね。そのかぼちゃ煮を作るときのコツなどはありますか?
「そうですね、ただマニュアル通りに、同じ調味料で同じ時間をかけて作っても、同じ味にはなりません。それがこの大きさの釜で煮ることの難しさです。その日のかぼちゃの状態を見て、煮る時間や蒸す時間を微調整しています」
―誰でも作れるわけではないのですね。ちなみに今作っているかぼちゃ煮はどうでしょうか。
「今日のは、かぼちゃを入れた後に沸騰するのが少し遅かったんですよね。多分、調理をしだしてすぐだから、まだガスコンロが温まっていないせいかな。なので、蒸らし時間を多めにしようと思います」