―この親子丼はまごころたまごを使っているそうですね。
「はい。他のたまごと、味が全然違うんですよね。食べたときに、味が濃くてしっかりしている。だからその味を壊さないように、割り下の味付けも考えました」
―どんな割り下なのでしょうか?
「元々、お惣菜っていろいろなだしや調味料、旨み成分を加えたりしていろんな味がしていたんです。でも、それだと素材の味が埋もれてしまう。だから今回は、まごころたまごの味を活かせるように、余計な調味料は入れませんでした。自然な甘みのある三温糖や、かつおだしなどのシンプルな調味料で調味しているので、たまごの味もしっかり味わうことができます」
―まさにまごころたまごのおいしさを味わう親子丼ですね。どのように作られているのですか?
「この親子丼はお店で手作りしています。まず、手鍋に割り下、鶏肉、玉ねぎを入れ、割って溶いた卵を加えます。そしてそれを加熱して、固くなりすぎない程度のところで火を止めて絶妙な柔らかさに仕上げます」
―ひとつの親子丼を作るために、手鍋でひとつひとつ作っているんですか?
「そうですよ。お弁当として売っている親子丼の多くは、オーブンなどで大量に作られていることが多いんですけど、それだと卵が固くなりやすいんです。やっぱり手鍋でひとつひとつ作るのとは味や食感が全然違います。手間はかかりますけど、お客様からはおいしいってお言葉を頂くことができているので、これは変えられませんね」
―おいしさを守るためには、見えないところでの努力が必要不可欠だったのですね。