―金時豆を煮る工程ですが、どのように行われているのですか?
「まず最初に豆を沸騰するくらいの温度まで水温を上げ、雑味を抜きながらコトコトと茹でます。その後水にさらすことで、豆が持っているえぐみも少なくすることができます」
―まずはじっくりと時間をかけて煮ていくのですね。
「豆に入っている成分として“サポニン”というものがあるのですが、これが多く残ってしまうとどうしても豆独特のえぐみが残ってしまうんです。しっかりと水にさらすことで、このえぐみを少なくすることができます」
―ここでもひと手間を加えることでよりおいしい金時豆になっていくのですね。
「一般的な工場では圧力をかけた大きな釜で大量に煮ますが、それだと全体を柔らかく煮る事はできても、雑味が残ったり、豆の甘味や風味が引き出せません。ヤマザキでは解放釜という蓋をしない釜で調理をしています。この釜だと茹でながらアクを除いたり、豆の状態を目で観察することができます。また、金時豆の中に含まれる水分を適度に飛ばしながら調理をすることもできるんです」
―大きな窯ではできないこだわった調整がこの釜で煮るとできるのですね。
金時豆の水分を飛ばすとおいしさにはどのような影響があるのですか?
「豆の中に少し空気が含まれるので、ふっくらとした食感になるんです。それに加えて、その空気の中に豆の風味も閉じ込められるので、食べた時にふわっと豆本来の風味も感じてもらえるようになります」
―調理の方法一つでも金時豆のおいしさに違いが出るのですね。
「煮あがった金時豆は、籠に細い針を刺していきながら出来上がりを確認します。ここでも季節や素材の豆によっても仕上がりが変わってくるので、非常に重要な確認になります」
―仕上がりの確認も、人の手を使ってみているのですね。
次はいよいよ味付けの工程をお聞きしたいと思います